GUIDE 08 / ITSS LEVEL 4
ITSSレベル4とは?レベル3との違いと高度試験の位置づけ
IPA(情報処理推進機構)が公開しているITスキル標準(ITSS)の定義と試験要綱をもとに、レベル4の位置づけ、レベル3との違い、高度試験が「レベル4の前提要件」とされている意味、公的統計の年収データの見方を解説します。
SUMMARY
この記事の要点
- IPAの定義(冒頭)
- 「プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、自らのスキルを活用することによって、独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル。」定義の全文はSECTION 01に掲載しています。
- レベル3との違い
- レベル3は「要求された作業」を独力で遂行する段階、レベル4は課題の発見と解決をリードし、後進育成にも貢献する段階です(SECTION 03)。
- 高度試験との関係
- 試験要綱では、高度試験は「レベル4の前提要件」とされています。合格だけでレベル4と評価されるわけではなく、業績による評価も必要とされています(SECTION 05)。
- 参考年収レンジ
- 公的統計(job tag)の第一四分位〜第三四分位を、2区分ともSECTION 06に掲載しています。平均値ではありません(SECTION 07)。
「」内はIPAの定義・試験要綱の原文です。それ以外は本サイトによる要約です。
SECTION 01 / DEFINITION
ITSSレベル4の定義
ITSS(ITスキル標準)は、IPAが公開しているIT人材のスキル指標で、職種・専門分野ごとに7段階のレベルを設けています。レベル1〜7の一覧はITSSとは?レベル1〜7の一覧で解説しています。IPAは、レベル4を次のように説明しています。
「プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、自らのスキルを活用することによって、独力で業務上の課題の発見と解決をリードするレベル。社内において、プロフェッショナルとして求められる経験の知識化とその応用(後進育成)に貢献しており、ハイレベルのプレーヤとして認められます。スキル開発においても自らのスキルの研鑽を継続することが求められます。」
出典:IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)「ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準」(外部サイト・別タブで開きます)(確認日: 2026-10-06)
SECTION 02 / HOW TO READ
定義から読み取れるポイント
定義文は、大きく3つの要素に分けて読むことができます。
- 「スキルの専門分野が確立し」
- 自分の専門とする分野がはっきりしている段階です。レベル3の定義では、この点は「スキルの専門分野確立を目指し」と書かれています。
- 「業務上の課題の発見と解決をリードする」
- 与えられた作業を進めるだけでなく、課題そのものを見つけ、その解決を主導することが求められます。
- 「経験の知識化とその応用(後進育成)に貢献しており」
- 自分の経験を他の人が使える知識にし、後進の育成に役立てていることも、レベル4の要素として挙げられています。
見出しの「」内はIPAの定義の原文、説明文は本サイトによる解説です。
SECTION 03 / VS LEVEL 3
レベル3とレベル4の違い
IPAの定義文を観点ごとに並べると、次のようになります。
| 観点 | レベル3 | レベル4 |
|---|---|---|
| 業務の進め方 | 「要求された作業を全て独力で遂行します」 | 「独力で業務上の課題の発見と解決をリードする」 |
| 専門分野 | 「スキルの専門分野確立を目指し」 | 「プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し」 |
| 知識・技能 | 「プロフェッショナルとなるために必要な応用的知識・技能を有します」 | — |
| 周囲への貢献 | — | 「経験の知識化とその応用(後進育成)に貢献しており」 |
| 位置づけ | — | 「ハイレベルのプレーヤとして認められます」 |
「—」は、そのレベルの定義文に該当する記述がないことを示します。
本サイトでは、レベル3からレベル4への違いを、任された作業を自分で完結できる段階から、課題を見つけて解決を主導し、周囲にも知識を還元する段階への変化と読んでいます。レベル3の定義の全文と詳しい解説はITSSレベル3とは?をご覧ください。
出典:IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)「ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準」(外部サイト・別タブで開きます)(確認日: 2026-10-06)
SECTION 04 / SKILLS
ITSSレベル4に求められる能力
IPAの定義から読み取れる、レベル4の主なポイントは次の通りです。
- 専門分野が確立しており、その分野のスキルを業務に活かしていること
- 業務上の課題を自ら発見し、その解決を独力でリードできること
- 経験を知識として整理し、後進の育成などに応用して社内に貢献していること
- レベル4に達した後も、スキルの研鑽を継続していること
なお、レベル5は次のように説明されており、創造・リードの対象が「テクノロジやメソドロジ、ビジネス」へと広がります。
「プロフェッショナルとしてスキルの専門分野が確立し、社内においてテクノロジやメソドロジ、ビジネスを創造し、リードするレベル。社内において、プロフェッショナルとして自他共に経験と実績を有しており、企業内のハイエンドプレーヤとして認められます。」
職種・専門分野ごとの詳しい評価の考え方は、IPAが公開しているITスキル標準の資料で定義されています。本サイトでは、ITSSレベルを経験年数や使用技術から判定することはしていません。
出典:IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)「ITスキル標準とは -ものさしとしてのスキル標準」(外部サイト・別タブで開きます)(確認日: 2026-10-06)
SECTION 05 / EXAM
高度試験と「レベル4の前提要件」
IPAの「ITスキル標準V3 2011 概要編」は、情報処理技術者試験とITSSのレベルの関係について、次のように説明しています。
「各レベルに対応する情報処理技術者試験の合格をもって当該レベルの入り口に立ったと見做すこととする。」
そのうえで、レベル4については次のように書かれています。
「レベル4に関しては、高度試験の結果と「達成度指標」で測定する業績の双方から評価する必要がある。」
つまり、高度試験の合格はレベル4の「入り口」に立ったことの目安であり、合格だけでレベル4と評価されるわけではありません。試験の結果に加えて、業務上の実績による評価が必要とされています。
現行の試験要綱では、次の9つの試験区分について「レベル4の前提要件」と記載されています。
| 試験区分と試験要綱の記載 |
|---|
| ITストラテジスト試験ST「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:ストラテジストのレベル4の前提要件」 |
| システムアーキテクト試験SA「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:システムアーキテクト,テクニカルスペシャリストのレベル4の前提要件」 |
| プロジェクトマネージャ試験PM「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:プロジェクトマネージャのレベル4の前提要件」 |
| ネットワークスペシャリスト試験NW「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:テクニカルスペシャリストのレベル4の前提要件」 |
| データベーススペシャリスト試験DB「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:テクニカルスペシャリストのレベル4の前提要件」 |
| エンベデッドシステムスペシャリスト試験ES「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:テクニカルスペシャリストのレベル4の前提要件」 |
| ITサービスマネージャ試験SM「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:サービスマネージャのレベル4の前提要件」 |
| システム監査技術者試験AU「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:サービスマネージャのレベル4の前提要件」 |
| 情報処理安全確保支援士試験SC「共通キャリア・スキルフレームワークの人材像:テクニカルスペシャリストのレベル4の前提要件」 |
- 試験要綱のレベルは「共通キャリア・スキルフレームワーク」のレベルで、ITSSのレベルそのものではありません。
- 応用情報技術者試験が「レベル3に相当」とされているのに対し、上の試験区分は「レベル4の前提要件」と書き分けられています。
- 試験要綱でレベル対応が示されているのはレベル4までで、レベル5以上に対応する試験区分は示されていません。
試験区分ごとのレベル対応の一覧(レベル2・3を含む)はITSSとは?レベル1〜7の一覧にまとめています。
出典:IPA「ITスキル標準V3 2011 1部:概要編」(外部サイト・別タブで開きます)(確認日: 2026-10-06)/IPA「情報処理技術者試験 情報処理安全確保支援士試験 試験要綱 Ver.5.6」(外部サイト・別タブで開きます)(2026年10月の試験から適用/確認日: 2026-10-06)
SECTION 06 / SALARY
ITSSレベル4の参考年収データ
厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、ITSSレベル別の年収データが公開されています。本サイトでは、このうち第一四分位〜第三四分位の範囲を「参考年収レンジ」として掲載しています。
PUBLIC STATISTICS / 公的統計
ITSSレベル4・設計・構築の参考年収レンジ
ITSSレベル4・ソフトウェア開発スペシャリストの参考年収レンジ
同じデータのレベル3と並べると、次のようになります。
| 区分 | レベル3 | レベル4 |
|---|---|---|
| 設計・構築 | 450〜700 | 500〜780 |
| ソフトウェア開発スペシャリスト | 450〜695 | 500〜750 |
レベル1〜2・レベル5以上を含む一覧はITSSレベル別 参考年収レンジで確認できます。
出典: 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag(外部サイト・別タブで開きます)(厚生労働省が2023年度に実施した委託調査/データ確認日: 2026-09-03)。詳しくはデータ・計算方法ページをご覧ください。
SECTION 07 / CAUTION
年収データを見る際の注意点
- 参考年収レンジは平均値ではなく、第一四分位〜第三四分位(中央の50%が含まれる範囲)です。上下25%ずつの人はこの範囲の外にいます。
- 「ITSSレベル4の人の平均年収」や「レベル4になれば年収がこの範囲になる」という意味ではありません。同じレベルでも、担当業務や会社の給与制度によって年収は異なります。
- SESに限らず、職種全体を対象にした統計です。年齢・勤務地・企業規模などの条件差は調整されていません。
- レベル3とレベル4のレンジの差を、昇格したときの年収の増加額として読むことはできません。
SECTION 08 / FAQ
よくある疑問
- 高度試験に合格すれば、ITSSレベル4と認定されますか?
- 認定されるわけではありません。IPAの「ITスキル標準V3 2011 概要編」では、レベル4は高度試験の結果と「達成度指標」で測定する業績の双方から評価する必要があるとされています。試験要綱でも、高度試験は「レベル4の前提要件」と書かれています(SECTION 05)。
- 応用情報技術者試験に合格していれば、レベル4に近いですか?
- 現行の試験要綱では、応用情報技術者試験は共通キャリア・スキルフレームワークのレベル3に相当するとされています。レベル4に対応づけられているのは高度試験と情報処理安全確保支援士試験です。
- 経験年数が何年あればレベル4になりますか?
- 本記事で引用しているIPAのレベル4の定義には、経験年数の記述はありません。本サイトでも、経験年数や使用技術からITSSレベルを判定することはしていません。
- ITSSレベル4の平均年収はいくらですか?
- 本サイトが掲載しているのは、job tagが公開しているデータのうち第一四分位〜第三四分位の範囲(参考年収レンジ)で、平均年収ではありません。「レベル4なら年収○万円」という意味でもありません(SECTION 07)。
- 「設計・構築」と「ソフトウェア開発スペシャリスト」のどちらを見ればよいですか?
- 業務内容によって近い区分は異なります。どちらか一方に当てはまると判断できない場合は、両方のレンジを参考にしてください。本サイトでは区分を自動で判定していません。
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